2014年12月8日月曜日

マルチコアの論文がIEICEに掲載

同じ研究科の高瀬さんを筆頭に投稿していた下記の論文がIEICEのCAD特集号に掲載されました。
“An Integrated Framework for Energy Optimization of Embedded Real-Time Applications”

CRESTの研究プロジェクトからおよそ4年かかっての掲載です。これまでにやってきた個別の成果を一つのフレームワークに集積したものですが、それがただの寄せ集めと思われたようでなかなか採択してもらえませんでした。多電源電圧設計に関する回路技術、マルチコアに関わるCPUアーキテクチャ、データとコード配置を最適化するコンパイラ技術、リアルタイムOSによるタスクスケジューリング技術と周波数割り当て技術など、回路からシステム・ソフトウェアにまたがる大作です。CREST高田チームの皆様、大変お疲れ様でした。


2014年11月13日木曜日

エネルギーハーベスティング講演

11月6日に東京で開催されたエネルギーハーベスティングコンソーシアム主催の意見交換会で講演を行いました。最先端・次世代研究プロジェクトで実施していた組込みシステム向けのハーベスティング技術の紹介を行いました。まず、このコンソーシアムに参加している企業が非常に多いことに驚きました。エネルギーハーベスティングが近い将来に非常に有望なビジネスになると考えられているようです。石原は講演者でありながら実応用における問題や実用化へのヒントなどをもらい、非常に良い勉強をさせていただきました。講演資料は研究活動のページにアップします。

2014年9月25日木曜日

MCSoC 2014に参加

9月23日から25日の間、会津大学で開催されたMCSoCに参加して来ました。MPSoCと名前はそっくりですが運営組織やコンセプトが全く違います。両会議間の講演者のオーバラップも全くと言っていいほどありません。MPSoCの講演者は全て大学の教員か企業の研究者であるのに対してMCSoCは若い学生が主な発表者です。しかし、Steering Committee ChairのJerraya先生(MPSoC)とBen Abdallah先生(MCSoC)の情熱は非常に似通ったものがあり、両名とも尊敬できる立派な方だと思いました。来年はイタリアのトリノで開催です。石原がGeneral Co-Chairを務めます。
http://www.mcsoc-forum.org/2015/

2014年9月12日金曜日

ASP-DAC 台湾・中国の躍進

9月8日に幕張で行われたASP-DACの運営会議に参加し、ASP-DAC 2015の採択論文の内訳を確認したのですが、台湾・中国の躍進がすごいです。中国の採択率は43%で、台湾の採択率はなんと54%。アメリカ、ドイツ、日本、韓国は何れも30%〜34%の採択率です。石原も先月の韓国で開催された論文選考会議に参加しましたが、台湾から投稿された論文は質が高く面白い論文が多かったように思いました。中国も7、8年前は採択率が非常に低かったのが、最近は非常に質の高い論文を投稿するようになって来た印象です。台湾はかつては一流大学の教授のほとんどがアメリカでPh.Dを取得した後に帰国して質の高い研究を主導するというケースが多かったようですが、最近はその弟子たちが台湾で学位を取って教員になり、質の高い研究を継続しているようです。いったん高品質なスパイラルに入り込んだEcosystemがその質を維持しているように感じました。日本でもEDAの第一世代を牽引した人たちの弟子が教員になって活動していますが台湾勢に押されている印象です。我々のような第二世代がもっと頑張らねばなりません。


ISLPED the most cited paper

最近気がついたのですが、石原&安浦先生の論文がACMのDigital LibraryでISLPED (International Symposium on Low Power Electronics and Design)のmost cited paperになっていました。Top 5に宇佐見先生の論文、Top 10には井上弘士さんの論文(石原も第2著者)が入っています。

興味があったので調べてみると、DAC、ICCAD、DATE、ASP-DAC、ESWeekの論文で日本人の論文が引用数のTop 10に入っているのは、ICCADのTop 5に入っている梶谷先生のグループの論文一件だけでした。日本が家元のASP-DACですら欧米勢に完全に上位を占められています。EE系(Electrical Engineering)の会議では日本勢が強いのだと思いますが、ACMのDLにはアーカイブがありません。CS系(Computer Science)は伝統的に日本が弱い所のようです。それが日本の半導体不況の原因のように思います。魅力的な半導体の応用先を見つけられなければ、半導体でも存在感を示すのが難しくなります。

2014年9月11日木曜日

IEEE SoC Conference (SOCC) で2件の発表

9月2日から5日までラスベガスにて開催されたSOCCという会議に参加して来ました。うちの研究室からはD3の西澤君とM1の鎌苅君が発表しました。鎌苅君は国際会議のデビュー戦でしたが立派に発表と質疑応答をこなしました。ラスベガスで会議なんて。。と思う人も多いようですが、ラスベガスはホテルの宿泊や会場レンタルが非常に安く会議運営にはもってこいの場所です。場所代以外でお金を落とさせる仕組みがしっかりできていて、場所代を安く設定しても儲かるのです。石原は初のSOCC参加でしたが採択率が高い(50%)割に議論のレベルが高いと思いました。会議のコンセプトとして、なるべく多くの企業の研究者が会議運営に携わるということと、企業の研究者を招待してキーノート講演やパネル討論をさせること、というのがあるようで、それが会議の質を高めているようでした。また参加したいと思いましたが、来年は北京で開催だそうです。。。写真はラスベガスのイメージです。

2014年8月31日日曜日

DAシンポジウムで5件の発表

8月28日と29日に下呂温泉にて開催されたDAシンポジウムに参加してきました。当研究室から5件の発表を行いました。ポスドクのマーフズ君、D3の西澤君と釡江君、M1の鎌苅君と塩見君が発表しました。M1の二人は対外発表のデビュー戦でしたが二人とも分かりやすく立派に発表したと思います。発表スライドは活動報告のページにアップします。

2014年8月30日土曜日

ASP-DAC 論文選考会議 & EDAワークショップ

8月25日と26日に韓国のDaejeonにて開催されたASP-DACの論文選考会議とEDAワークショップに参加してきました。石原は8年ぶりにTPCへ復帰しましたが、2007年のレベルから大きくレベルアップしていました。もはや姉妹会議のDAC, ICCAD, DATEと大差ないというのが多くの委員の印象です。論文採択率はトラックに依りますが30%前後と非常に狭き門となっています。このような会議に論文が採択されるためには、一件や二件の論文投稿では不十分で、多くの欧米や韓国台湾の常連研究室は5本から6本の論文を投稿して2件〜3件採択されるというのが良くあるパターンのようです。つまり、この手の会議に定常的に5本から6本の論文を投稿できるようにならなければ世界では戦えないということになります。うちからは2件の論文を投稿して1件が採択されました。もっと頑張らねばなりません。

2014年7月19日土曜日

MPSoC 2014 で講演

7月7日〜11日にフランスのマルゴーにて開催されたMPSoC 2014に参加して来ました。この会議は招待講演のみの会議です。ユニークなのは、①講演者は企業の中堅以上の研究者かまたは大学の准教授クラス以上の教員ということ、②産業界と大学からの講演者がほぼ半々であること、③講演者の発表が参加者全員に採点されること、です。非常に緊張感があります。韓国のとある先生は、採点結果が気に食わなかったために(本人曰く)二度と参加しなくなってしまいました。

通常の国際会議も勉強になる会議も多いですが、やはりPh.Dの学生の研究成果発表の場になっている会議がほとんどで、各論の議論がほとんどです。それに対してMPSoCは研究の方向性を議論する非常に良い場になっています。しかも今の時代は産業界の参加者が少なくなってしまった会議が多いですが、MPSoCはいまだに多くの第一線で活躍する産業界の研究者が講演してくれます。これをずっと続けているJerraya先生は偉大だと思います。

石原は"Near-Threshold Computing on Heterogeneous Multicore Architectures"と題して発表しました。講演資料は活動紹介のページにアップします。

2014年6月26日木曜日

Bristol大学から3名が来訪

6月16日から18日の3日間、Bristol大学から3名の研究者(Dr.Simon Hollis, Dr.Steve Kerrison, Dr. Kyriakos Georgiou)が当研究グループを訪問しEnergy-Aware Computingに関する意見交換を行いました。京大側は佐藤高史研、高木研(高瀬先生のみ)、小野寺研の数名が参加しました。先方の興味はもともとシステムレベル設計技術にあったため、リアルタイムOSやソフトウェアの電力解析などを中心に議論しました。3人とも生き生きとしてバイタリティに溢れる研究者で、こちらもエネルギーをもらいました。京都は彼らの来訪期間中ずっと天気が良く、京都を満喫していました。

2014年4月17日木曜日

EGSプロジェクトの活動を継続

内閣府の最先端・次世代研究開発支援プログラムのサポートにより3年と2か月の間、組込みグリーンシステムのプロジェクトを実施してきましたが、最先端・次世代プログラムのサポートは先月末で終了となりました。重点的な研究費の補助により通常の研究ではできないことができました。環境発電に適した新しい組込みプロセッサのアーキテクチャを提案し、それを先端プロセスで実チップとして実現し、実際に振動発電と小型の太陽電池で安定動作させることに成功しました。

本年度からは科学研究費補助金の支援で、上記プロジェクトを発展させる予定です。最近は、科研費のデータベースが非常に早い時期に更新されるので、既に今年度の内定情報が公開されていることに気づきました。環境発電システムの制御アルゴリズムやプロセッサの電力管理アルゴリズムなどを中心に発展させる予定です。

2014年4月2日水曜日

DATE2014のユニバーシティブースに出展

2014年3月24日から28日までドイツのドレスデンで開催されたDATE2014に参加し、ユニバーシティブースでEnergy Harvesting Embedded Systems のデモを行いました。今回の内容は、

1.試作したプロセッサチップ上でToppers OSが動作するデモ
2.試作したクアッドコアプロセッサチップが1mW以下で動作するデモ
3.振動で発電するデバイスを使って試作プロセッサが動作するデモ
を紹介しました。

Toppers OSのデモでは待ちタスクの数に応じてプロセッサの動作モードを動的に切り替えることで従来型の単純な動作モード切替に比べて消費エネルギーを30%削減できることを示しました。通常は1.2V動作と0.7V動作を瞬時に切り替えますが、長期間にわたって高い性能を必要としていない場合は、PLLを止めて周波数を6.25MHzまで落とし、CPUコアの電圧を0.48Vまで、キャッシュなどの電圧を0.7Vまで落とすことにより、1mW未満まで消費電力を落とすことができます。
最後の振動発電のデモは、もともとは懐中電灯用の発電デバイスを少し作り変えたものを約1Hzで振ることにより約20mWの電力を発電させ、それを使ってプロセッサを動作させます。振動発電デバイスの出力電力を直接チップに使うと不安定になりますが、高効率DC-DCコンバータで安定化させることによりチップが安定して動作します。デモに使用したポスターは近日中に活動報告のページにアップします。

2014年3月16日日曜日

ETNET@石垣島で2件発表

3月15日と16日の二日間で石垣島にて開催されたETNETで高瀬先生と李さんがそれぞれ発表しました。
それぞれのタイトルは、
「排他動作する非均質マルチコアプロセッサとそのリアルタイムOSの実装」←高瀬さんの発表
「Evaluation of Charge Scheduling on a Multi-Banked Supercapacitor Architecture for Energy Harvesting Embedded Systems」←李さんの発表
です。

高瀬さんの発表は非常に好評でした。今流行りのコンパニオンコア@nVIDIAやbig.LITTLE@ARMと類似したアイデアを世界に先駆けて提唱していたと言い切ったことが受けたようです。
今回の発表はbig.LITTLEのような高性能コアと省電力コアの2種類の排他動作するコアを効率よく使うためのAPIの話でしたが、電力制御アルゴリズムに関してはこのAPIを使ってまだまだたくさんのアグレッシブなことが出来ます。今後発展させていきます。発表に使った資料は近日中に活動報告のページにアップします。

2014年2月17日月曜日

スマホの電力解析技術が特許登録

九州大学にいた際に、NTTドコモとの共同研究の中で申請した特許が登録されました。

特許 2009-262303: 消費電力評価装置、電力係数作成システム、消費電力評価方法及び電力係数作成方法。

下記の論文が関係しています。
http://www.c.csce.kyushu-u.ac.jp/lab_db/papers/paper/pdf/2009/kaneda09_1.pdf

この特許は、スマホや携帯電話の上で動作するアプリケーションの消費電力を個別に解析する技術です。スマホや携帯電話のハードウェア自体が消費する電力を見ようと思えば単純に電流計で測定すれば良いわけですが、複数のアプリケーションが時分割で動作するシステムでは個別のアプリケーションが消費する電力を解析するのは非常に難しいです。そこで、アプリケーションごとのCPU占有率やメモリ使用量などのパラメータからそのアプリケーションが消費する電力を見積もるモデルを作成し、精度よくアプリケーションごとの消費電力を見積もることを可能にしました。CPUや無線チップおよびストレージなど別々のハードウェアコンポーネントごとの電力解析も可能になります。さらに、この電力解析モデルをアプリケーション開発環境に適用することによって、アプリケーション開発前にシミュレーションで電力消費を見積もることができ、電力消費の小さいアプリケーション開発が可能となります。この技術の基本的な考え方は現在のNEXTプロジェクトの中でも生かされています。