2012年11月29日木曜日

研究員のLeeさんがESTIMediaで発表(2件)

これまた報告が遅くなりましたが、10月11日~12日にフィンランドのTampereで開催されたESTIMediaで研究員のLeeさんが2件の発表を行いました。環境発電の効率を高める技術の発表とループキャッシュの発表を2件行ったのと、2つのセッションで座長を務め大活躍をしました。ループキャッシュの研究は、研究員のGuさんが行っていたものですが、Guさんがオーストラリアのチップベンダへ転職してしまいましたので代わりの発表となりました。ESTIMediaはIEEE Symposium on Embedded Systems for Real-Time Multimediaという名称の組込みシステムに関する国際会議です。ISSCCやVLSI Circuit symposiumなどに行くと日本人が多いのですが、組込みシステムの会議ではほとんど日本人がいません。日本(特に企業)はカスタムチップの設計技術ではおそらく世界一の技術力を持っていますが、それを組み合わせてシステムにする技術や汎用チップを使って如何にして付加価値を生み出すかということに関してはなかなか強みを出せていないように思います。もっと日本からの投稿論文と参加者が増えることを期待します。私は学内の用務で残念ながら参加できなかったのですが来年はぜひ参加したいと思います。

D2の西澤くんがICCDで発表

ずいぶん投稿が遅くなりましたが、9月30日~10月3日にカナダのモントリオールで行われたICCDという会議に参加してきました。博士課程の2年の西澤くんが“A Flexble Structure of Standard Cells and Its Optimization Methods for Near-Threshold Voltage Operation”というタイトルで発表を行いました。
最近流行のニア・スレッショルド電圧に回路を最適化するという研究の成果です。少し前には、低消費電力回路設計の分野ではサブ・スレッショルド電圧が流行でしたが、これだと性能が悪すぎて応用先がほとんどないということで、最近はニア・スレッショルド電圧というのが人気急上昇です。発表資料は研究活動のページにアップ済みです。 ところで、ICCD(International Conference on Computer Design)はICCAD(International Conference on Computer Aided Design)とルーツを共にする会議だそうです。古くから両方の会議に参加している教授(南カリフォルニア大のPedram教授)の話では、会議のクオリティはICCADとはずいぶん違うとのことでした。石原はICCADには何度か参加したことがありますが、ICCDは初めての参加でした。
思ったよりこじんまりしたアットホームな会議で少し驚きました。発表者の西澤くんは無難に発表をこなし、質疑応答も少し勘違いがあったものの自分でしっかり応答して立派でした。写真↑は京大の講義室のようにも見えますが、ちゃんとモントリオールの大学の講義室です。 ところで、モントリオールの街はというと、正直“いまいち”でした。曇りの日が多かったというのもありますし、あまり人がいないので寂しい感じがしました。この会議の3週間前に行ったイギリスのニューカッスルの方が遥かに良かったです。ICCDのバンケットも正直“いまいち”でした。バンケットはクルーズ船の中で行われたのですが、だいたいクルーズ船でのバンケットは(運営の立場からは)経費がかからないだけで、内容はいまいちであることが多いです。クルーズ船の船着き場の近くの写真→です。寂しげでした。

2012年9月11日火曜日

M1の近藤君が国際会議デビュー

9月4日~6日の3日間、イギリスのニューカッスルで開催されたPATMOSに参加してきました。M1の近藤君が国際会議デビューをしました。発表者の大半は大学の教員や博士課程の学生でしたが、そんな中で近藤君も堂々と発表をしました。発表時間内(20分)には十分に理解してもらえないところも多々ありましたが、発表後の質疑応答ではたくさんの質問をもらい、理解を深めてもらうことが出来ました。
セッション終了後も2人の方が駆け寄ってきて「他のプロセスでも同様の傾向が見られるのか?」とか「もっと大規模な回路でも効果があるのか?」とかいう質問をもらいました。大変興味を持ってもらったようで良かったです。石原は昨年に続き2回目の参加ですが、我々の研究室と関連する発表が多く、とても刺激になる会議だと改めて思いました。しかも、ニューカッスルの街はとても風情があり日本の残暑を忘れる一時を過ごすことが出来、大満足です。2日目のバンケットは、ハリーポッターの食事のシーン(ホグワーツ魔法学校)で使われた場所で行われました。来年の開催地はまだ決まっていませんが、来年も是非また参加したいと思います。

2012年9月10日月曜日

京大アカデミックデイに出展

9月2日の日曜日に開催された京都大学アカデミックデイに出展しました。多くの市民の方と対話が出来て楽しかったです。展示に使ったポスターは研究活動のページにアップします。

2012年9月3日月曜日

DAシンポジウムで発表

ブログへの投稿が随分おそくなりましたが、8月29日と30日の二日間、下呂温泉で開催されたDAシンポジウムに参加しました。今回は急遽シンポジウムに参加できなくなった近藤君の代わりに発表をしました。講演スライドを特急列車の中で作成しましたが、いざスライドを作り始めると実験不足な所や説明が不十分な所に気付きます。原稿を書く段階でもう少し目を通しておくべきだったと後悔しつつもお陰様で良い勉強になりました。発表では言いたかったことの半分も話せませんでしたが、エッセンスは伝わったのではないかと思います。DAシンポジウムは国内のLSI設計に関する会議では最も活気のある会議で非常に有意義な議論ができるのですが、初日は深夜(次の日の早朝?)まで議論をするので二日目は眠たくてしかたがありません。発表に使ったスライドは近日中に活動報告のページにアップします。

2012年7月19日木曜日

サウジアラビア国立ジャーザーン大学から訪問団来訪

7月17日にサウジアラビア国立ジャーザーン大学から教授一人と学生9人が研究科の見学に訪れました。小野寺研への訪問希望があり、Leeさんと石原が対応しました。見学に来られた教授は、静岡大学で学位を取得したそうで、日本のことを良くご存知でした。我々の研究室の活動の一つとして“Energy Harvesting Embedded System”の紹介をしたのですが、この教授はWireless Sensor Networkの研究をされているそうで、我々の研究内容も良くご存知でした。我々の説明の途中、何度か、教授が9人の学生たちに対してアラビア語で説明を追加していました。VDECのチップ試作サービスや実際のプロセッサチップを紹介すると、学生たちは目を輝かせて興味を示していました。「最近のスマートフォンにはデュアルコアプロセッサが搭載されているが、我々のチップはトリプルコアプロセッサだ!」と説明すると感心してくれました。学生たちの反応が新鮮でした。説明で使った資料は研究活動のページにアップします。

FDSOI

先日カナダのモンテベロで開催されたMPSoC2012に参加しいろいろ刺激を受けました。MPSoCはもともと、Multi Processor System on Chipに関する会議としてスタートしたのですが最近ではなんでもありの会議になっています。そんな中、フランスのCEA-LETIの研究者からFDSOIに関する講演がありました。CEA-LETIはこの会議の運営委員長であるJerrayaさんが所属する国立の研究機関です。CEA-LETIは比較的大規模なクリーンルームを所有し、完全空乏型(Fully Depleted)のSOI (Silicon on Insulator)を製造できる設備を備えているそうです。FDSOIはバックゲートの制御性が良く(制御範囲が広く)、Sub-threshold slopeもBulkより良いので注目すべきデバイスであることは知っていましたが、まだまだプロセスコストが高く量産に使えるようになるには時間がかかると思っていました。しかし、この講演者の話では、コストはBulk CMOSとほとんど変わらないとのこと。私はプロセスのことは良くわからないのですが、コストに関して見劣りすることが無いのであればFDSOIは思っていた以上に魅力的なデバイスです。会議後も講演者のBeigneさんに連絡を取っていろいろ聞いているところですが、継続して調べたいと思います。

2012年7月18日水曜日

MPSoC2012で講演

7月9日~13日の間、カナダのケベック州モンテベロで開催されたMPSoC2012に参加してきました。去年に続き5回目の参加、3回目の発表です。MPSoCの講演はすべて招待ベースで、比較的シニアな研究者(大学でいうと准教授以上)が将来の研究の方向性を議論する会議です。特定の研究成果に関する講演は少なく、研究の方向性を示唆する発表をする講演者が多いのですが、私は毎回特定の研究ネタ(小ネタ)を発表しています。昨年はスクラッチパッドメモリの管理技術の講演をし、今年はその拡張という位置づけでGuさんが取り組んでいるループキャッシュの話をしました。小ネタのつもりでしたが、意外と興味を持ってくれた人が多く、数人の方から質問をもらいました。ARMのJohnさんにコメントしてもらえて感激でした。「一般性が無いんじゃないの?」という感じのネガティブなコメントでしたが。。。発表スライドは近日中に研究活動のページにアップします。
ところで、国際会議に参加すると日本人はいつも日本人同士でつるんでいます。そのことは外国人は皆感じているようで、TensilicaのChrisさんは「日本人はいつも日本人同士で集まるね」と言っていました。Chrisさんは「Italians also get together, many French do similar. But Germans hate to get together」と言っていました。だから結果的にドイツ人は非英語圏にも関わらず皆英語が上手です。日本人も見習わないといけないです。私は国際会議では日本人同士でつるまないように心掛けています。

2012年6月18日月曜日

SNU Prof. Naehyuck Changを訪問

6月15日、昨年に引き続きソウル大学のNaehyuck Chang教授の研究室を訪問し研究成果発表会を行いました。今年は研究員のLeeさんとGuさんと共に訪問し、双方の活動を報告した後、意見交換を行いました。昨年も思ったことですが、SNUの学生は修士課程の学生でも普通に英語で研究内容紹介が出来ます。7~8名の学生が10分くらいずつの時間でコンパクトに研究紹介をしてくれました。時々教授のフォローが入りますが、皆非常に分かりやすく研究内容紹介をしてくれました。これを目の当りにすると、日本は残念ですが“ゆとりボケ”しているとしか言いようがありません。こちらからも研究内容を紹介しましたが、非常に白熱した議論となりました。特にDVFSプロセッサの実装に関するテーマと環境発電に関するテーマは盛り上がりました。資料は近日中に 研究活動のページ にアップします。昨年にも増して非常に有意義な議論ができましたし、我々ももっと頑張らないといけないと思いました。昼食時には、Kiyoung Choi教授も同席して下さり、原発と将来のエネルギーに関してざっくばらんな話をしました。韓国は(も?)原発推進国なので、エネルギー問題はなかなか難しい問題です。「次は是非学生も連れて来い」ということを言われました。それが出来るといいのですが。。

2012年4月23日月曜日

SmartGreensで2件の発表

4月19日と20日の2日間、ポルトガルのポルトで開催されたInternational Conference on Smart Grid and Green IT systems という会議にLeeさんと共に参加してきました。予想していた以上にSmart Gridな会議でした。つまり、Green ITに関する発表はほとんどなく、8~9割の発表はSmart Gridに関するもので、聴衆もほとんどがSmart Grid関連の研究者のようでした。我々の発表(Green ITに関する発表)は、かなり浮いていました。しかし期待していた会議とは違っていましたが、レベルは決して低くはなく、逆に欧米のSmartGridの取り組みを深く勉強することが出来て非常に良かったです。Smart Gridというコンセプトは実はヨーロッパで最初に提唱されて、現在のアメリカ大統領が所信表明演説で何度か使った(グリーンニューディール政策)ことで世界的にかなり有名になったのだと認識しています。日本はSmart Gridに関しては遅れていると言わざるを得ませんが、技術力が無いわけではなく、いわゆる欧米のイメージするSmart Gridに対するニーズが低いだけだと思いました。ヨーロッパのように国を跨ぐ売電の仕組みがありませんし、アメリカのような大停電の対策も必要ありません。一方で、日本ではHEMS(Home Energy Management System)に関する取り組みは欧米より進んでいるように感じます。欧米ではHEMSと同様のコンセプトをμG(マイクログリッド)と呼んでいます。ただし、日本の場合、産業界が主導しているので、HEMSに関しても学会ではまだあまり活発に議論がされていないように感じます。何れにせよ、これから数十年は日本でも最も重要な研究分野の一つになるはずですので、もっと勉強しないといけないと思いました。

2012年3月10日土曜日

エネルギー見える化の論文がJournalに掲載

九州大学のLovicさんと一緒に執筆した論文がJournal of Electrical and Computer Engineeringに掲載されました。タイトルは“Processor Energy Characterization for Compiler-Assisted Software Energy Reduction”です。マイクロプロセッサの消費エネルギーをソフトウェアの観点でモデル化する方法と、そのモデルを使ってアプリケーションプログラムの消費エネルギーを低減するコンパイル手法をまとめました。単にエネルギー消費を“見える化”するだけではなく、モデルを作ることによって、プログラムをどのように変更すればどれだけエネルギーが減らせるかを明らかにしました。発電装置や蓄電装置のエネルギーモデルも絶賛開発中です。

2012年2月29日水曜日

Smart GridとGreen ITに関する国際会議に2件採択

最先端・次世代プロジェクトの専任研究員であるLeeさんとGuさんの論文が揃って国際会議に採択されました。International Conference on Smart Grids and Green IT Systemsという我々のプロジェクトにぴったりの会議です。二人がプロジェクトに加わって以来初の論文ですので感無量です。おめでとうございます。

2012年2月28日火曜日

最先端・次世代研究開発支援プログラムの発表会

久しぶりの更新です。今日は九州大学主催の最先端・次世代研究開発支援プログラムの発表会で講演を行いました。グリーン・イノベーションで3名、ライフ・イノベーションで4名の方が講演をされました。聴講者の中には研究者の方だけではなく一般市民の方も30%いらっしゃったそうなので私の講演はほとんど理解されなかったのではないかと心配しています。他の方は短期間で非常に立派な成果を上げられていて感心しました。このような研究者間の交流の場は非常に重要だと思いました。

講演に使ったスライドはこちら